ブレイブ・ストーリー

 前々から気になっていた宮部みゆきの著書をやっとひとつ読了。レトリックが平易で読み易い。小学校の国語の教科書に載っているような文章を読んでいるみたい。比喩がちょっとひねってある。こんなところから比喩の対象を持ってくるかとおもうこともしばしば。このあたりがこの人の特徴なんですかね。
 ブレイブ・ストーリーの内容に関しては、平行して読んでいるドリームバスターとも被るのだけど、こころ、夢、旅、ファンタジー、というキーワードが色濃い。このキーワードに何か思い当たるなとおもったら、河合隼雄なのかな。河合隼雄の展開する世界観を物語仕立てにしたらちょうどブレイブ・ストーリーのようになるのかな。かなり強引な結びつけだけどw 世界設定がとてもきれいにおさまっていることに感心。異世界ものというとどうもその存在に違和感を感じてしまうものだけど、主人公の精神が創り出した内面世界ということをちらつかせてうまく実在感を滑り込ませている。こころの演出に関しても、自分の内面との闘いを現実に起きる事件とからめつつ表現していくところなんかは定番ではあるけどやっぱりうまいな〜。あと余談だけど、導入部分はRPGにもっていくと最高のオープニングになりそうなんだが。しかし、最初はRPGっぽい!とおもって読んでいたけど、幻界に入ったあとはそういう感覚が薄れてきて「こころ」のお話として読んでましたね。宮部みゆきRPGのシナリオ書かせろ的な意見もあるみたいだけど、ゲームには向かないかな〜という気がします。